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怪奇小話★異郷の空
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ミッドナイト

転居してから1ヶ月ほど経ったある土曜日の夕方、学生寮のルームメイトだったKと彼女のボーイフレンドSが突然訪ねてきた。
アラバマ(州)出身の二人は、高校時代に出会ったらしく、とても仲がいい。寮にいたときは、竜巻に遭って怖い思いをしたとか、Redneck(地元の人間以外は受け入れない米南部の白人労働者)から、迫害された体験談をよく聞かされた。

その夜は、当時大流行だったモノポリー・ゲームや他人の噂話を肴にピザとビールで秋の宴を楽しんだ。
しばらくして、Kが「ねぇタロットカードか※ウィジャボードをやろうよ」と言い出した。※西洋版コックリさん。「え~タロットカード?このあいだ、ジプシーに占ってもらったばかりじゃない」
「じゃウィジャボードは?」
「というか、今日は疲れたし、そんな気分じゃないから、やめとく。でも、どうしてもやりたければ、二人でやって」とカードを渡し、インディアンサマーといえども、夜はかなり冷え込むから、キルト(上掛け)をかけて、カウチで横になった。
ラジオ(ラジカセ)をWBUR(ジャズ専門の放送局)に合わせ、とてもリラックスした気分になった。

二人はすでに、興奮してきたらしく、声をはずませて、将来について占いはじめた。
きゃあきゃあと笑ったり騒いだり、とにかくにぎやかだ。
そんな彼らのやりとりを聞いているうちに突然、眠気が襲った。
しかし、来客をさしおいて、自分だけ眠るわけにはいかない。
時計は午前00:00をまわっていた。
目を開けなければ、と暗示をかけながら、眠気との葛藤が始まった。

だが、その努力もむなしく、眠りの状態に入っていった。
ただ、意識ははっきりしているので、二人の姿ははっきり見えるし、声も聞こえる。

そのとき、天井の中心に青白い閃光が放たれた。
そのとたん、体が金縛りにあった。
グワン、グワン、グワン……
モーターのように音がうなりを立てて体内を走る。
音は体内を螺旋状に広がっていくようだった。
またなにかが起きる。
そのとき、おなかのあたりになにか大きな物が落ち、強い衝撃を受けた。

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びっくりして思わず「あっ・・・」と叫んだ・・・。
「あれ?どうしたんだろう、声にならない・・・。」
叫んだつもりが、声にならなかったのだ。

異次元のざわめきが外界の音を消してしまったかのように静まり返った。
すでに体内から抜け出て天井に張り付いていた。
そうこううろたえているうちに、天井に亀裂が入り、赤い布キレのような物体が裂け目から現れた。
「何だろう?」
と思う間もなく、その布は旋回しながらどんどん大きくなっていった。

恐怖が募った。「苦しい・・・」何だか、胸を締め付けられる感じがした。
そのときだ。
その布が得体の知れない物体に変身し、私をめがけて襲ってきた。

魔物だ!!
口が耳元まで裂けた魔物は、赤いマントを羽織った老婆だった。
その姿、顔に驚き入って我が目を信ずることができなかった。
老婆は斧だか鎌を振り上げて、青白い目を光らせてどんどん迫ってくる。

「これは大変だ。こんな魔物に呑み込まれたくない。」
鎌をもった老婆とのバトルが始まった。
「早く戻らなければ、殺されてしまう。」
だが、体の自由がきかないので、逃げようにも逃げられない。

自分の身体が横たわっているカウチを見下ろした。
しかし、自分の身体が、遠い存在のように思えた。

それでも、何とか身体に戻れることを念じて、力の及ぶ限りの声で「助けて~」と思いっきり叫んでみた。
「駄目だ、少しも声にならない。」
二人は相変わらず、愉快そうに大声で笑っている。
私の異変に気がついていないようだ。
焦りで恐怖はますます高まっていった。

焦れば焦るほど、自分の身体は遠ざかっていく。
再び、老婆は鎌を振り上げた。
今度こそお終まいだ。
「逃げろ!」と、どこからともなく声と鐘を鳴らすが聞こえた。
その瞬間、今度は自分の身体がパッと光った(閃光を放った)。
その音は体全体にわたって響いたが、まもなくすぅっと消えていった。

何が何だかわからないままハッと目が覚めた。
びっしょり汗をかいたらしく、Tシャツが濡れている。
「あ~よかった」
ようやく身体に収まったらしく、安堵の胸をおろした。

今までカードに夢中になっていた二人だが、たった今しがた電話が鳴ったらしく、Sが「ハロー、どなたですか?」を繰り返している。
「こんな夜中に電話をしてくる奴は一体誰だろう?」
「Axxhole !」とブツブツつぶやきながら、受話器を戻している様子だ。

彼女のほうは「誰だったの?」「いたずら電話?」と興味ありげにSにたずねている。
「受話器をとったけど、ダイアルトーン(発信音)だけだったよ!」

私も身を起こして、ゆっくりと彼らが座っているカウチに移った。
そして、なかば放心状態で、自分の身に起こったことを、二人に話した。

彼らは「全く信じられない」という顔つきで、私の話を聞き入ったが、何も見ていない彼らには、何がなんだか全然理解できないようだった。
カードに夢中だったけど、とにかく様子がおかしいとか、特別、変わった様子はなかったといった。

ただ、「逃げろ!」と、いう声と、鐘を鳴らす音を聞いて、目覚めたことを話したとき、
二人とも非常に驚いた様子を見せた。
午前00:00をまわる頃、電話のベルが鳴ったので、確かに受話器をとった。
けれども、相手がすぐに切ってしまったので、電話に出たときは、発信音しか聞こえなかったといっている。
怪奇小話・ポルターガイスト

転居してから、はや二ヶ月半ほど経過した。
そういえば、引っ越してきて以来、ほとんど料理をしていない。
「そろそろ食品や生活必需品のショッピングをしなくては」
メモパッドをもってキッチン備え付けの戸棚を開けた。
するとそこにはペット用の缶詰や豆類の缶詰がぎっしりと並んでいた。

ついでに冷蔵庫も開けてみた。
「ふーん」
Knotts(ノッツ)アップルソースの大瓶・・・。
冷凍室にはTVディナーとGreen Giants (グリーンジャイアンツ) のホウレン草が入っていた。
つい最近まで誰かが暮らしていた雰囲気だ。

そして、キッチンの引き出しを開けた。
「へぇ~。Silver Ware・銀の食器か・・・」
ホテル並みの銀食器が入っていた。
とりあえず、缶詰や冷蔵庫の食べ物は捨ててしまい、
食器だけを使わせてもらうことにした。

1ブロック先のプルデンシャル・センターの1階の
スター・マーケットで日用品や食品のショッピングを済ませ、
その日は、家具の配置換えや部屋の大掃除、ランドリー
などの家事に追われて、あっという間に一日が過ぎていった。

大分疲れたので、そろそろ寝ようかと思い、
午前12時頃、ベッドルームに入った。
北海道の旭川と緯度が同じ、ボストンの夜は冷え込む。
10月末にもなると気温が10度を切るので、
古いアパート全体を温めるためのオイルヒーターが作動する。
アンティークまでとは言わないが、ビンテージものなので、
温度調節が効かなかった。
カンカン、カンカンという音とともに、
ヒーターが、どんどん熱くなっていく。
とにかく毎晩のように繰り返されるので、これには閉口した。

その夜も、あまりの熱さと騒音で、目が覚めてしまった。
水を飲み、再びベッドに入って、ラジオをつけた。
当時、ヒットしていたThe Stylisticsの「I’m stone in love with you」のソプラノボイスの響きに心地よく、
そのままうたた寝をした。

そのうち自分が起きているのか、寝ているのか、わからない感覚になってきた。
すると、電話が鳴った。
「誰だろう。こんな真夜中に・・・」
受話器をとって「Hello」と答えたが、発信音だけしか聞こえない。
「また、例の電話かな・・・」

しばらくするとまた、電話が鳴った。
「いたずら電話かな……」
しかし、電話はそれで終わった。
そして眠りに落ちた。
夜の2時半くらいだろうか、
とつぜん胸の上あたりが強く、押される感覚があった。
首を絞められるような感じである。
起きてみると、汗をかいていた。
「ああ、また金縛りか・・・」と思いながら
ふと気になって視線を部屋の隅にやった。
すると、蒼い光が二つ、並んで浮いていた。
ちょうど風船くらいの大きさだった。
「なんだろう・・・」
しかし、何事も起こらないので、
そのまま寝たのだが、再び
押される感覚に襲われてしまった。
また、目が覚めた。

続く
前回の続き

すると窓の横から青白い光がすぅーと現れた。
蒼い光は、人の形に変わっていた。
70半ばくらいの白人のおじいさんと、おばあさんだった。
二人は私のほうをじっと見ていた。
「な、なんだろう、これって……」

しかし、怖いとか、気味悪いという感じは受けなかった。
二人とも悲しそうな表情をしていなかったからだ。
でも、何かを伝えたがっているように見えた。
が、何を意味しているのかはまったくわからなかった。

それ以来、その老人たちは、
たびたび夜中に現れるようになった。
現れるたびに、私は圧迫感を覚え、
いやな思いをしなければならなかった。
そこで、学校のラウンジでたむろしている数人の友人にこの事を話してみた。

彼らは興味津々たる思いで、私の話に聞き入ったが、
そのうち一人の若者(17か18歳くらい)が、興奮した口調で
「きっとそれは、その家に霊がついているんだよ!」と言い出した。
「そんなことありえない。夢でも見ているんじゃないの」と、半ば笑い飛ばすヤツ(輩)もいた。

しかしながら、幽霊のでるアパートは、彼らの興味の的となり、幽霊見学に来る友人もいた。
ただ、彼らが来たときには、なぜか出てこないのである。

年が明けて、1月になった。
再び老人たちが現れたが、この日はちょっと違っていた。
現れる直前に、いきなりものすごい勢いで、
体全体をたたかれるような気がした。
ベッドそのものが動いたことが分かった。
「ポルターガイストだ!」
目をさましてみると、二人は以前より、もっと近くに立っていた。
「ハッ 殺されるかもしれない・・・」
日を追うごとに近寄ってくるように見えた。
「でも、いったい何故?」「何か私に恨みでもあるのか・・・」
「いずれその正体をあらわすに違いない」と、
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以前は音楽家でしたが、西洋占星術と出会って以来、はまっています。
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